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重箱の隅

好きなことだけ。

The Moment someone fell in love

SPITZ

 

「人が恋におちる瞬間を
 初めてみてしまった」

 

漫画『ハチミツとクローバー』の名台詞です。

スピッツを聴いていると、まさにこれだな~としみじみ実感します*1

草野さんは、人が恋に落ちる瞬間とか、始まったばかりの恋の表現が、とにかく上手い。ロマンチックな言葉を使わないのに、呆れるくらい上手い。

初期の曲ももちろんですけど、草野さんが40代にはいってから発表された、”いい年した大人”世代になってからの恋の歌が、個人的には特にささります(笑)。

 

というわけで、

”いい年したオトナ”世代の私が

今お気に入りの2曲。

 

『不思議』(2007)


不思議 (歌詞はこちら

 

相変わらず、淡々と涼しい顔で歌われております(笑)。

 

「恋のフシギ」、

「シャレたとこはまるで無いけれど」
「憧れてた場所じゃないけれど」

若い頃と違って、過度な期待も夢み心地もないからなーw。

「恋のフシギ さらにセットミーフリー
過ぎていったモロモロはもういいよ 」

ここが毎度の撃沈フレーズです。

”過ぎていったモロモロはもういいよ”。

自分の過去の「モロモロ」について言ってるのか、相手の過去の「モロモロ」に対して言ってるのかわかりませんが、

どっちにしても、「もういいよ」なのです。

そりゃそうだ、これ以外に言いようがないw。


そして、「モロモロ」って言い回しが正宗さんらしい*2

たしかに、こう言う以外にどうしようもないw。


「わざとよける 不意にぶつかる
濡れた道を走っていく」

 

「君」と「僕」が、
年甲斐もなく、じゃれあいながら雨上がりの道を追いかけっこしてるのか、

恋に臆病になってた「僕」が、わざと避けてた、でも避けきれずにぶつかってしまった恋に、ようやく覚悟を決めて踏み出したのか、

 

いずれにしても。

くすぐったさと戸惑いの中にいる僕が、サビのアタマで毎度発する一言が最高です。

 

何なんだ?

 

どうよ、このうれし恥ずかし
ささやかな逆ギレ感(笑)。

 

そして、とどめの大サビ(1コーラス目と2コーラス目のサビをくっつけてある)で、

 

何なんだ? 恋のフシギ 
 恋はブキミ
 憧れてた場所じゃないけど」。

 

おいおい ブキミって・・・(笑)。

「恋はブキミ」の部分は、もともと(1コーラス目)では、「生きた証」なんですよ。
ちょっと哲学的な、大げさなこと言っちゃった自分に照れてしまったのか、大サビではすごい勢いで天邪鬼なコトバを突っ込んできましたねw。

 

 

「君で飛べる 君を飛ばす
 はぐれ鳥 追いかけてく」

 

草野さんの詞では、恋と「飛ぶ」はほぼセットです(^^)。

重力からの、世間からの、自分の「モロモロ」からの、もっというと、死の恐怖からの、解放。

「セットミーフリー」(僕を自由にしてくれ)とか「オーベイビー!」とか、敢えてカタカナで書くのは、照れ隠しゆえ。

「はぐれ鳥」もいいんだよなぁ。

世間的には不器用で、世の中とタイミングが違う感じ。
みんなと同じ方向へはいけない感じ。

そんな二人が共有する、
痛みをふんわり包み込んだ恋の象徴。

 

にしても、おみごとなのが、

 

「君」にかかる「助詞(で・を)」と

同じ動詞の
「自動詞(飛ぶ(飛べる))」→「他動詞(飛ばす)」だけで、

 

「君で飛べる 君を飛ばす」

ちゃんと両思いとわかる(´Д`)。

 

恐るべし、草野正宗

ご本人はもちろん、
屈折したオトナの初々しさが満載の一曲です。

  

 

二曲目。『幻のドラゴン』(2010)


スピッツ - 幻のドラゴン(live2011)

 

この曲は、久々に恋のスイッチがはいっちゃったオトナ男子の歌です。

ながら聴きしてた時は、タイトル「幻のドラゴン」のイメージもあって、RPGゲームの世界みたいな、ちょっと冒険めいた楽しくて元気になるかわいい曲だな~だったんですが・・・

ちょっとしたきっかけで、またもや勝手に「うっっわ~~~!」と感動しました。

詞の解釈は聴く人の数だけあると思いますが、ここでは極私的な楽しみ方を・・・

 

 

1コーラス目

♪破壊することだけ 壁の向こうは考えず
眠れない夜更けに 水一杯飲んで飛び出す
五感をすべて働かせて
細すぎる糸を遠くまで 紡いでゆく♪

 

なんとなく、「細い糸を辿って、出口にたどり着く」みたいなイメージで、聞き流してたんですよ。

 

マサムネさんがはっきり

「糸を 紡いでゆく」

って言ってるにもかかわらず。

 

私のアタマの中には、

「細すぎる糸」
+迷い・悩み
+「幻のドラゴン」
RPGアドベンチャーちっくな雰囲気

=「アリアドネの糸

という連想ができちゃったのです。

 アリアドネ【Ariadnē】 ギリシャ神話で,クレタ王ミノスの娘。ミノタウロス退治に来たテセウスに恋し,糸玉を与えて迷宮を通り抜けさせた。ここから難問解決の手引き・方法を「アリアドネの糸」という。
大辞林 第三版の解説)

 

思い込みってのは恐ろしいですねぇ。

 

で、あるとき、ちゃんと歌詞を見ながら聴いてみたら、

 

あれ???  

 

「糸を遠くまで 紡いでゆく」。

 

(参考までに、糸紡ぎってこんな事です↓)


綿から手紡ぎで糸作り

 

最初から導きの糸があったんじゃなく、自分で作ってるんだ!と。

・・・ってことは?
 

固く閉じた心の壁を壊して、

「眠れない夜更け」に飛び出してから、

君へのモヤモヤした想いを縒り合わせて、
細いけど丈夫な糸になって
(その糸は僕の歩いたあとに長く伸びているのか、それともグルグル巻かれて糸玉になってるのかはわかりませんが)

遠くまで来た=長い時間が経った。


紡ぎ出した糸が長く長く

(あるいは糸玉が大きく)なって、
君への恋を自覚せざるを得なくなった時、

足を止めて顔を上げると・・・

 

 ♪君に夢中で泣きたい ゆらゆら空を渡る
燃えているのは 忘れかけてた
幻のドラゴン♪

 

 

 これって・・・ 

朝焼けの空かも!?

 

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こんなふうに広々とした空でもいいし、

 

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ビルやタワーの間に見える空でもいい。
(下の写真は、草野さんの出身である「福岡」の空らしいので、引用させていただきました。こちらのページから。)

 

「幻のドラゴン」は、かつて経験した燃えるような無敵の恋心であると同時に、徹夜明けで見た朝焼けの空に、赤く染まってたなびく雲 みたいな・・・

雲だったら、時間とともに形を変えてしまうから、「幻の」っていう単語も、ある意味ではつじつまがあってるし。

 

この詞には、はっきりしたストーリーも状況・情景描写もないけれど・・・


「心情」と「行動」にリンクした「風景」を、「夜更け」と「遠くまで」という、「時間」「空間」の機能を果たす二つの言葉の掛け算に、こっそり仕込んでるのだとしたら・・・


草野さんって、ほんとーに

何なんだ?」w

 

そして2コーラス目は、一転して心の中。

♪予感もなく 突然あらわれた赤い果実
優柔不断な気持ちは マッキーでぬりつぶす
ありがとうとか 言われたくて
危ない道あえて選んでは 突き進んでいく♪

「忘れかけてた」くらいに、恋から長く遠ざかっていれば、突然の出会いに尻込みの1つや2つします(断言!)。

でも、1コーラス目の「破壊することだけ 壁の向こうは考えず」ってフレーズと、

2コーラス目の「優柔不断な気持ちは マッキーでぬりつぶす」からうかがえるように、

「僕」は、自分で自分を駆り立てようとハラをくくった感がある。えらいぞ、頑張った( ノД`)。

 

「赤い果実」と聞くと、

私にはザクロとか、リンゴあたりが思い浮かびます。セクシャルなものの象徴ってことで。いい年したオトナ男子の恋だとすれば、そこが入り口なのもアリだろうから(ここで少女趣味のイチゴは浮かばないな。)

 

そして、恋する男子の生態としては、年齢関係なく”あるある”だと思うのが、次のフレーズ。

ありがとうとか 言われたくて」がんばっちゃう感じ。
ここぞとばかりのアピールで、あえて無理目なこともやっちゃう感じ。

いいね~、ほほえましくて。

 

2コーラス目 サビ

♪君に夢中で泣きたい ザクザク坂も登る
よみがえるのは 小さいけれど 
強気なドラゴン♪

1コーラス目の「ゆらゆら空を渡る(幻の)ドラゴン」は朝焼けに燃える雲みたいな、熱烈な恋心のイメージ。

それを見あげながら、ハッキリと自覚したリアルな「恋心」が、2コーラス目で心と体に宿ったドラゴン。

ドラゴンは翼があるから飛べるのに、敢えて危険な道選んで、疲れてんのに「ザクザク坂を登る」!

さっきの風景が続いているとしたら、朝焼けの空に浮かぶ雲を見てるうちに、雲がカタチを変えてしまう前に、もっと空に近づいて手を伸ばしたくなったりしたのかも。そしてもちろん、赤い果実(=君)にも手を伸ばしたくなってるのかも。

 

そして、この「ザクザク」がなんともイイ。
1コーラス目の「水一杯」で街を彷徨ってる時よりも、確実に恋を自覚すると馬力が出てる。ハイオク満タンといった感じ。

  

そして大サビは、『不思議』と同様に、1コーラス目と2コーラス目のサビが並んでます。

♪君に夢中で泣きたい ゆらゆら空を渡る
燃えているのは 忘れかけてた 幻のドラゴン
君に夢中で泣きたい ザクザク坂も登る
よみがえるのは 小さいけれど 強気なドラゴン♪

 

空にも心(地上)にも、空想にも行動にも、

恋の化身「ドラゴン」が君臨する、恋100%の世界。

 

これをね~、涼しい顔でツラーっと歌うんですよ、あの人は。

ホントにもう、「何なんだ!」って感じですw。

 

で、演奏も曲の世界にあってて、”カッコかわいい”のです。

 

冒頭の、1音ずつ重なっていく不穏な和音と対照的に、

イントロや間奏でなんども登場するギターソロの

「でんでけでけでけ~♪」が、いかにも

小さくて、ちょっと愚かで、強気で前のめりなドラゴン君のステップっぽくて。

 

そして、 サビの前でエレキがオクターブの音階を上昇して行くとこが、気持ちいい!

 

1コーラス目を「夜更け」「街中(ラビリンス)」→「夜明けの空」のイメージで聴いてると、この1オクターブの上昇フレーズで、うわーっと目の前が開けて広い所に出るというか、迷いが消えて目の前が明るくなるという感じがしてくるのです。

 

で、さらに気持ちいいのが、
1コーラス目と2コーラス目のサビが合体した大サビの前。


ここでは、1オクターブの上昇が2つ連なってるんですけども・・・

 

(1つ目の1オクターブ上昇フレーズ)
坂道をザクザク元気に登る小さなドラゴンが、歩みを早めて丘の頂上にたどり着いたと思ったら、

(軽め?の音色に変わった2つ目の上昇フレーズ)
ふわりと空にまで駆け上がって、

(サビのバッキング)
悠々と堂々と空を渡るドラゴン(雲)のように、大きく広がっていく光景が眼前に見えるようで

 

か~な~り~爽快です。

 

ドラゴンっていっても、なんかこう、身近にいそうな恋する男子感が満載の、ケモノの偉大さと微笑ましさといいますか。

口から火を吐き出すようなボスキャラ感はないし、風水の置物みたいなアジアンな感じでもない。神話とか伝説の生き物というほど、畏怖の念とか手の届かない感じもない。

 

で、そんなことを思ってたときに、私、とあるフィギュアに一目惚れしました。

お値段も3コイン以内だし、この曲のイメージにぴったりだと思って手に入れたら・・・

 

あれ?

 

あなた・・・翼・・・ありませんね。

 

で、渦巻いた毛みたいなの・・・ありますよね。

 

ん? これって・・・

 

麒麟か???

 

しばし、ぼーぜんとはしたものの、
まぁ、かわいいからいいやと開き直って、小5の姪っ子にラインで送ったら・・・

 

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謎の生物、あっさりと正体判明。

 

 

 

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しらなかったw。
ポ●●ンと妖怪ウ●●チは守備範囲じゃないんだよ。(T^T) 

 

正体がわかったとは言え、この麒麟さん、口開けてるところがなんともアホっぽくてかわいいし、相変わらずこの曲のイメージにわりと近いな~と思っているので、このまま手元においとくことにしました。

 

幻の・・・いや、

偽ドラゴン(←麒麟だってw)ってあたりが、方向の怪しい深読みが大好きな、愚かな私の空想世界に住む”謎のケモノ”って感じがするんだもんw。

 

偽ドラゴン 空撮↓

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 やっぱりちょっと愚かな感じがしていいぞw。

 

そんなこんなで、はじめっから歪んでるなw~と自覚している私のファン心を、恥ずかしげも躊躇もなく、思いっきり叫んでくれる偽ドラゴン君です。

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追記:

手続きからおよそ一ヶ月・・・
ようやく、”とんがり山”の住人になれました。
(ファンクラブ入った~!)

 

そして2015年のツアーグッズ「黒ひつじ」。

1999年からblacksheep名乗ってる身といたしましては、今さらだろうがなんだろうが、この感覚を持ち合わせてるバンドにハマっちゃうのも仕方ないな、と(・∀・)

 

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*1:もともと、『ハチクロ』自体が、スピッツのアルバム『ハチミツ』(とスガシカオさんの『Clover』)と関係あるうえに、映画化された際の主題歌がスピッツの『魔法のコトバ』だから、当然といえば、当然かも。

*2:「いっぱい並べた 夢・希望・諸々」(『子グマ!子グマ!』from 15th Album『醒めない』(2016)