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重箱の隅

好きなことだけ。

「A&Q」、あるいは「レビューの裏側」

こちらも、後日の補足部分と訂正については、色を「グリーン」に変えております。自分用の覚え書きってことで、気づいたこと全部書いてるから、バカ長いったらw。

 

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レビューの過程で参考にしたのは、

  • 特典の手書き歌詞カードに書かれていたコード
  • CD音源。
  • ライブ演奏(2015/8/8J-WAVE SUMEER LIVE)、テレビ出演動画やMV。
  • ギターレッスンで先生に教えていただいた運指←これがすべてと言っても過言ではない。
  • 最初歩のコード理論。
  • 答え合わせとして、各媒体でのインタビュー記事。
  • 半年後の2016年4月に出版された、オフィシャルギタースコア『青の光景』

このレビューは、いざギターを習い始めたものの、「とりあえずコードの響きや役割を知れればいいや」と今以上に低いハードルでたらたらやっていた私が、「実際に演奏することで、より深く理解することが出来る」と大感動した日の「レッスン記録」でもあります。

 

1.ライブ演奏、手書き歌詞カードのコードから。

リリース前の初披露は、『天空の蜂』にひっかけて「ハチ」の日、8月8日出演のJ-WAVEライブ。幸運にもその演奏を会場で目の当たりにした私の感想は、

 

「わぁ~!パワーコードだ!!!」←早合点w

 

レッスンで大先生に教えていただいたばかり。

3本指を同じフォームでスライドさせながら、ギターをめいっぱい搔き鳴らしている秦さんを見て、テンションの上がった私は大胆不敵にも思いました。

 

横移動だけで簡単そう!

もしかすると、自分にも弾けるかも!!!

 

・・・勘違いも甚だしい(笑)
あまりにも秦さんが簡単そうに弾いていたもので・・・すみません。

 

この日は手元だけをガン見。ネックの途中あたりからスタートしたな、ってことだけを目に焼き付けて、リリース日とテレビ出演を心待ちにしました。「直筆歌詞カード(コード付き)」の特典もあると知って、フラゲの狙いはタワレコ渋谷店に!

 

そしてこれがgetした特典歌詞カード。


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!!!!

 

肝心のキーが書いてない~~~(T^T)。

キーと母音の話だけでレビューしようと思ってたのにーーー(ノД`)シクシク

 

ここのところ、いろんな曲のスコアを見て、必ずしも最初のコードがその曲のキーとは限らないと知ったので、ここは是非とも曲のキーを知って安心したかったのに・・・(T^T)。

 

気を取り直して、この曲の核になるフレーズのコード・トーンを書き出してみます。

 

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書き出してはみたものの、そこからどうしていいかわからず、前後のコードに共通する音を〇で囲みだしてます(笑)。

曲の感じも陰鬱だし、これって定石通り最初のコード「C#m」がキーでいい・・・んですよね(自信がない)。

 

迷った理由はコレ(1番下)。

 

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アウトロ(後奏)が「E」で終わってる・・・。

曲の始まりがいつも「1」とは限らない、という新たな知識を仕入れた反面で、曲の終わりは「1」に戻ると頑なに思い込んでいたので、アタマの固い初心者は、

 

”これってEキーかも?”

 

と悩み始めたわけです。
(こんなへっぽこを笑って下さい、先輩方(T^T))

 

でもね、ネットで調べるとコード譜を掲載しているサイト*1でも、「オリジナルキー:E」ってところがありました。

 

サビ「♪愛して 愛して」は、 C#m→・・・→G#→(C#m)と、C#mで始まって、C#mで終わるから、どう見てもキーはC#mでいいと思うんだよなぁ・・・。

 

そこで、念のため2つの可能性を考えてダイアトニック・コードをネットで検索して書き出してみたら・・・


Eメジャーキーの場合:
E F#m G#m A   B C#m D#m(♭5) E

C#mキーの場合:
C#D#m(♭5) E  F#m   G#m A  B C#m

 

なんてこった!
どっちも同じ構成音(順番が違うだけ)だ!


あれですね、「メジャーキーの6番目の音から始めれば、マイナーキーのできあがり」というヤツ。 

 

と、まぁ、こんな感じでキーをC#mに決定するまでに、私はとことん悩んだのですが、私がメジャー(E)とマイナー(C#m)の間で揺れたのは、まんまと秦さんの思惑通りだったのかも。←本編で言及

 

ということで、次は、押さえ方の研究。

 

ライブで観た「パワーコードっぽいぞ!指三本で、同じフォームのまま平行移動だ!ネックの途中あたりから始めてる!」という記憶は、リリース直前のテレビ出演映像であっさり上書きされました。

www.dailymotion.com

 

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「あれ?パワーコードっていうか、人差し指はベターっじゃなくて、ふんわりだ。5弦しか押さえてない!薬指と小指もふんわりだ~!」

 

というわけで、最初の3つのコードのダイアグラムを「ふんわり指三本」を意識して書いてみる・・・5弦ルートなので、基本的に6弦は人差し指の先っちょでミュート*2

 

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最初のC#mから問題発生。


1、2弦を弾いてしまうとなると、C#mの3和音(C#,E,G#)には含まれない「B」はどう考えればいいのやら。思いあまって、ルート音は変わっちゃうけど、「3~6弦でいける?」と書き込んでます(笑)。
それとも、あの勢いでストロークしながらも、2弦だけミュートするプロならではのワザがあるとか?うーーーん。

 

2つ目のEも、

Eの和音「EG#B」のうち、G#があんなに近くにあるのに、弾かないってのがなんかもったいない。ひょっとして、実はG#も押さえられるワザでも使ってるんじゃ・・・(耳で聴いてわからないので、妄想が広がるw)

 

実際の演奏ではこういうことがよくあるんだろうか????

弾いちゃいけない音(B)を弾いて、
弾いていい音(G#)を弾かないなんて・・・。


ギター初心者のアタマというか、単に私のアタマが固いので、恒例の思考停止。

ここでギブアップして、素直に先生に弾き方を教えていただくことに。

 

非常識きわまりなく、前日に申し出たにもかかわらず(ほんっと申し訳ございません。でも、その夜の「いちむらじお」でいじられたからプラマイゼロってことで、お許しくださいw)、大先生は私が持参したコードのカードには目もくれず、さくっとスゴイ迫力の『Q&A』を実演してくださいました(あらためて、プロっってすごいっっっ!!!!)。

 

やっぱり、ふんわり指三本の平行移動で、1,2弦は鳴らしっぱなしだ!

 

そこで先生に質問を。

Q:「7フレットのEのコードの時は、パワーコード(①⑤⑧)だと思えば、G#(③)を押さえなくていい、というのはわかります。しかも他の弦も、EとBだから、6弦全部弾いてもEとBだけでむしろ力強い。でも、4フレットのC#m の時は、どうしてコードには入らない2弦のBも鳴らしちゃうんですか?」

 

A:「(直筆カードを見ながら)・・・ふーん。ギター弾きながらこうやって作ったんじゃない?(言いながら、ふんわり三本指をスライドしてストローク)
ま、とりあえずこの曲は、1,2弦を鳴らしたいんだよ。そのためにコード名が複雑になったりいろいろするの。ま、どっちにしても、はい、とりあえず弾いてみる!」

 

安定のズダボロ。
だれだよ、簡単そうって言ったのは。←あんた。

 

Q:「で、先生、この曲、キーはC#mとEメジャー、どっちなんでしょう?」

 

A:「・・・どっちでもいいんじゃないの?(ニヤリ)。結局最後までふらふらして、さぁ、どっちでしょ?みたいな感じだよ。←パーフェクト解答!正解っっ!

 

いま思うと、E♭→Eのフレーズに関しても、「ロカビリーとか、そういう曲の終わり方でこういうわざとずらして戻すってやり方があるんだよ」と、このレッスンで実演していただいたような気がします。 

いずれにしても、このレッスンが『Q&A』で疑問に思ったことの「答え」に繋がりました。


ギターを弾きながら曲を作る秦さんの音楽の世界が知りたくて、ギターを習い始めた私にとっては、忘れられない1時間。


詞を深読みするだけとか、コード眺めたり、記号をならべて分析してるだけじゃ、ぜっっったいにわからない。
弾いてみて音色を確かめたり、指の動きを優先することの大切さを知りました。

腹の底からなるほどな~のブリザード×ブリザード


レッスン後に検索したコード譜掲載サイトでも、大先生に教えていただいた(実際に秦さんがそうしている)弾き方は出ていませんからね。
あの手のサイトでは、機械的に開放弦近くのダイアグラムが出るとのことですから、実際の演奏とは違って当然だw。どれだけ独学でやっても、何年もかかるでしょうね、いろいろ気づくまでに。(youtubeの動画も、演奏はあるけど解説まではないような・・・)



その後、オフィシャルギタースコア『青の光景』で確認したところ、秦さんの手書きのC#mは、より正確な表記の「C#m7」になっておりました!ますます、Bは正式に必要な音だったということですね。


↓オフィシャルスコアのダイアグラム。 

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本編にも書きましたが、秦さんが手書きでE♭と記したコードが、いわゆる「オフィシャル」なコード表記では、「D#」になるのですが、コードの書き方の違いだけでも、書き手の意図が見えてくる気がします(←大先生の受け売りw)。たとえ、無意識で秦さんがE♭と書いただけとしても、そこには何かの引力が働いているんじゃないかと思いたい。

8月のレッスン記録で、E♭やC#のもう一つの名前の話書きましたが、一時期ほんとに真剣に『Q&A』の練習してたんで、この2つがアタマにびりついて、D#とD♭などまったく影も形も思いつかなかった模様です。←言い訳だけど、でもほんとにそうなのだ。


そうそう、このオフィシャルコードは、できる限り正確なコード名をつけてるんだとおもったけど(→C#m7の件)、Badd11にはD#が足りなくないか?「BD#F#+ E」なんだから。だったら、秦さんの手書きコードのBsus4(D#のかわりにE)のほうがそのままぴったりなのに。なんでわざわざ書き換えてんだろうなぁ。ちなみに、このときのヴォーカルは、D#のトーンを歌ってます。ということは、ボーカルの音も込みでギターにもD#を足した気分になってるのか?????いやいや・・・んな馬鹿な。謎だ。だれか教えて下さい。

 

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ちなみに、この曲のサビは、上のコードの3つめ、C#mからなんですけども、大事な大事なサビの最後が、F# G# →C#m・・・って、どう思います?
F# もG#も、mが付いてないから、異端児のノン・ダイアトニックですよ。

この曲で一番盛り上がるはずのサビで、異端児二人も続いて~の着地って、どんだけ不安定さを醸し出したいのかと。しかも、サビの出だしがね、とんでもない高い裏声から、急下降してくるんですよ。映画公開時のイベントでも、キャストのみなさんにこの裏声のサビについていじられてました(笑)。「愛して 愛して」って。こんなの聴いたことがないw。めちゃくちゃ、チャレンジングなメロディーラインです。
これ以外にも、この曲はなかなか難易度高いんです、歌の。曲自体のテンポはそんなに早いわけじゃないのに、言葉はどんどん転がっていくというか、リズムに乗るのが難しいというか。これをちゃんと歌えるヴォーカル技術がほんとにすごい。


それはともかくとして。

「〇〇な感じ」を作るためには、いろんな方法総動員して、やれることはなんでもするんだな~と。作り手の業みたいなものを感じて、わたくし、いたく感動しました。

 

 せっかくなので、ついでに秦さんの「Cキーのグループ曲」も書いとこうっと。

「Cメジャー」は、ピアノの白鍵だけで構成される、最も基本的で明るい「光」を感じさせるキーです。レビュー(1)で言及した秦さんの『水無月』がこれにあたります。

 

「Cm」はその対局、いわば「影」「闇」をイメージさせます。

クラシックの有名どころでは、ベートーヴェン交響曲第5番(運命)第一楽章』、ショパン ピアノ曲『革命』など。力一杯男らしい暗さというか、苦悩というか(笑)。荘厳な響きで、「短調!!」を叩きつけてくるイメージです。

 

秦さんの作品でCmに該当するのは、唯一、初期の名曲『Lily』。

ジャジーなアレンジのせいか、荘厳で男性的な暗さというよりも、もっと捻れて屈折した、極上のストレスと痛みを感じる曲です。秦作品の中でも、闇の深さでは並ぶモノがない、と断言できるくらいの陰鬱さに溢れています。
伝説の鬱曲『樹海』(インディーズ時代)とどっちが暗いか興味あるな~。

 


秦基博/Lily


そして問題の「C♯m」ですが、Cのm(マイナー)で、さらに半音ずれ(#)ているという、なんとも独特の響きです。暗さはあるものの、どこか濁りのある、単なる影や闇で終わらない、癖のある響きです。

クラシックの有名どころでは、ベートーヴェンピアノソナタ『月光』。このタイトルは、”湖面に映る月光にゆらぐ小舟”のイメージから着いた愛称だそうです(吉松隆『調性で読み解くクラシック』P.189)。

 

秦さんの楽曲ではとても珍しく、私の知りうる限り『ひとなつの経験』が唯一これにあたります。(『秦基博 ギター弾き語り全曲集』より。)

いま、ぱらぱらそのページみてて気づいたんですけど・・・

『Q&A』よりも、めっちゃはっきり、C#mとEのキーが混在してる!!!!

確かに、あの曲はサビで妙に明るくなるな~とは思ってたんだ。
で、最後の最後も、妙に明るくなるな~とは思ったんだ。

なるほどな~~~(>_<)。

ちなみに『ひとなつの経験』は百恵ちゃんのとは違いますよ。あっちは「夏」だから。

ざっくりいうと、

若い男女がいーの、夕立きーの、雨宿りしーの、濡れて本音透けーの さぐりあいーの どちらともなく 会話塞ぎーの、境界線越えーの わかり合えたふりしーの 互いを重ね合いーの。

でも 不安になりーの 惑いーの、雷鳴轟きーの 稲妻ひかりーの 虚しくなりーの 互いを見失いーの 自問自答しーの 境界線捨てーの ためらいと打算燃え尽きーの ただ 互いを重ね合いーの。【Fin】

 

見知らぬ相手なのか、出来心なのか、もともと好きだったのかはハッキリしませんが、最終的に「嫁ぎーの」(by バカリズム)になれば、若気の至りも良き思い出ではないかと、思わずこみ上げる親戚のおばさん心。

この曲は、「F#m7(11)  G#7(-13) C#m7(9)」を8回繰り返してAメロを構成しております。黒い雲に覆われた、夏の夕立の感じ。雨に打たれる感じ。不安な感じ。くすんだ感じ、よどんだ感じ。惑う感じ。たどり着く先のC#mの響きが情景と心情に相応しい。

サビは「E」で始まって、いろいろあって、「E」で終わる。歌詞は「♪ 青天の霹靂 越えてく境界線・・・(中略)・・・重ね合う互いを」。

青天の霹靂ってことにして、しかたないや夏のせいだもん、夕立にあっちゃったんだもん、雷ごろごろ稲妻ぴかりなんだもん こんな状況でふたりっきりなんだもん、若いんだもん、ためらいも打算もぶんなげちゃえっっ、と、どこか開き直ったようなEメジャーなのです。

 

・・・ああ、なんというまとめかた(T^T)。

だめだ、驚きすぎてロマンチックモードが発動しないw。

 

こうなったら、さっぱり爽やかな、
正真正銘のEメジャーの動画を張ってくれるわ!

秦基博 最悪の日々 live

今の秦さんしかしらない方には、びっくりのロック小僧テイスト。
(若いんだな、これがまた)


他のEメジャー曲でロックっぽいものと言えば、


動画はみつからなかったけど、

ライブで盛り上がりそうな『Fa Fa Fa』←これ大っ好き!!!
そして、ワケありの『サインアップベイベー』も!!!

(動画はおろか、ライブでも演奏したという噂を聞いたことがない)

 

もうこの辺でやめとこ。結びです。

 

『Q&A』のリリース記念に、「音」の世界に一歩だけ踏み込んでみました。
本当に一歩だけ。曲のキーを考えるだけで、今回はよしとしてください(^^;;

『Q&A』の前、変化球で逃げた『水彩の月』と、変に力んだ正式レビュー第一弾『アイ』のリンクも張っておこう!

少しずつでも成長してると暗示をかけてやるんだ!w。

 

『Q&A』以前 

前作『水彩の月』は、秦君が「初めての挑戦、ピアノで作ってみました」と言っていたので、「ギター使って考えることもないな」と、変則的なレビューに逃げました(←嘘です。勉強不足で歯が立たなかっただけですw)。

 

『Q&A』以後  

力みっぷりがすごくて、我ながらイタい。(^^;;

 

*1:Q & A(秦基博) / コード譜 / ギター - J-Total Music!

*2:(ただし、『「青の光景」オフィシャルギタースコア』解説によると、「キメの部分やCM7の箇所は、ダイナミックに聴かせるために、6弦開放まで鳴らすこともあるそうだ(大抵のコードは6弦開放がコード・トーンになっているので、不協和音にならない)。