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重箱の隅

好きなことだけ。

『Q&A』未完成レビュー(1)

秦基博 コードと詞で読むJ-POP

日頃からウルトラマンフィギュアを使って写真を撮ってる私。去年の秋には、ちょっと目先を変えて、こんなこともしてました。

 

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実はこれ、秦さんのシングル『Q&A』のレビューを書いてたときに撮った写真です(2015年秋)。

未完成のまま放置して、書いたことすら忘れかけていたら、今朝こんなニュースが。

秦基博、『聖の青春』主題歌書き下ろし 村山聖さんの生き方に感銘 | ORICON STYLE

 

「映画主題歌再び記念」に、手直しして公開しておこうと思いたちました。初心者だからと甘えていられるうちに(笑)。

今回の公開にあたって手直しや補足箇所は色を変えてあります。

それでは、幻の第一弾レビュー(ボロボロ)、スタート(^.^)。

・・・・・・・・・・・・

『Q&A』レビュー(1)

秦基博さんは、今、映画の作り手に最も熱望されているアーティストと言えるかもしれません。大ヒットした『ひまわりの約束』(映画『STAND BY ME ドラえもん』)の記憶が醒めないうちに、今年6月リリースの『水彩の月』(6月公開映画『あん』)、それに続く本作『Q&A』もまた、映画のエンディングを飾ることになりました。

『天空の蜂』原作:東野圭吾、監督:堤幸彦

最新鋭の大型ヘリを手に入れたテロリストが、日本全国の原発の停止を求め稼働中の原発上空でホバリングさせるテロ事件を描く。(中略)東日本大震災による原発事故を経験した日本において、改めて社会と人間の在り方を問う衝撃作。

 


映画『天空の蜂』予告篇90秒

 

映画の内容を知って、すぐに思い浮かんだ曲があります。


デビュー5年目、12枚目シングル『水無月』。

イントロはありません。

第一声の歌い出し(Aメロ)とサビのCadd9 が印象的な、秦さんの代表曲の一つです。
0:01の第一声からグッとくる名曲です!だまされたと思って聴いてみて下さい(>_<)


秦 基博 / 水無月 from GREEN MIND at BUDOKAN 11.12.22



リリースは2011年6月15日。

日本が未曾有の大災害を経験したあの年です。


大震災と、それによって引き起こされた原発事故。


こんな状況の中で果たして音楽は必要なのか、音楽を生業とする自分にできることはなにか?
ミュージシャンがそれぞれ自分なりの答えを探し、行動を模索した時期です。

 

リリース後のインタビューによれば、『水無月』のメロディは震災以前に出来上がっていて、詞は「震災後」に書かれたものだそうです。ですから、この曲(詞)には震災を通じて秦さんが考え抜いた「答え」が込められています。

この楽曲がリリースされる前日に更新された、秦さんの所属事務所であるオーガスタのスタッフブログ(2011年6月14日)にはこんな記述がありました。

変らず秦はシンプルに、ストレートにこの曲を上梓した。すべての表現者が震災以降直面した苦悩やジレンマは、もちろん秦も感じたに違いないが、それでもやはり迷うことなく、変らずに思いを込めきったのがこの曲だ。


曲について多くを語りたくはないが、ただひとつ「希望」について。シンプルで、ストレートなこのメッセージは秦によってさらに直接的表現として、迷いも衒いもなく日本中に降り注ぐはずだと信じたい。この曲はむき出しの、ありのままの秦の「希望の歌」である。秦が選択した「今、そして未来へ伝えたいこと」そのものなのだ

 

♪不純なのはいつだって 
すぐ見透かされてしまうから
せめて正直であれたら♪

 

生半可な嘘や体裁はすぐに見破られてしまうから、音楽を生業とする限りは、ただ、ひたすら音楽を届ける。心地よいメロディに単純な言葉を乗せて、愛を真っ直ぐに。みんなが心を合わせ、声を合わせて歌える曲を。

 

キーは「Cメジャー(ハ長調)」。開放感のある平明で輝かしいイメージの響きです。構成する音は「ドレミファソラシド」、ピアノでいうと、白鍵しか弾かないため、最も基本のキーと呼ばれています。
そして、Aメロとサビでは、明るさの中にも憂いを含んだCadd9 が印象的に響きます。

 

「誰もがいい曲だと思える、”グッドメロディ”を」と意識して作ったメロディは、震災前に完成していたそうですが、秦さんがみつけた答え(詞)を託す先はここしかないというくらいぴったりの、親しみやすくて耳に心地よい、まさに”グッドメロディ”です。

 そして、秦さんはその声の「音」にも、答えを乗せているようです。


♪単純~ 
 言葉で愛を今(い)~
 歌おう(うた~おう)
 あるがままの心の声を探して(さが~して)
何千回(か~い)
いやもっと何万回(か~い)
ずっと胸の中で鳴り響く歌(うた~
歌おうよ さ~ぁ~  

 

母音の中で、最も大きく口を開けて素直に発声される「ア」は、口だけではなく心も開いた(まさにオープンマインド)屈託のない明るさや優しさ、爽快さを感じさせます。
秦さんはしばしば、シンガーならではの作詞のこだわりとして、母音や促音について言及されますが、『水無月』にとってのそれは、「アのロングトーン」ではないかと思えます。

「Cメジャー」が醸し出す明るいイメージと
大きく口をあけた「母音ア」の開放的な響き。
痛みを抱えながらも前向きな詞*1
憂いを包み込んで光輝く「Cadd9」。
そして、曲のメッセージを体現したようなライブ*2 とファン参加のPV*3

 

「希望」と「愛」。

 

それが、秦さんがこの時期に出した「表現者としての答え」であるように思います。 

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(会場を埋め尽くす観客と一緒に「ア」を歌ってるところ)

 

 

あれから4年。

 

9月9日リリースの19枚目シングルは、
映画『天空の蜂』のエンディングテーマ曲『Q&A』。

 

水無月』と『Q&A』は、現実とフィクションの差こそあれ、どちらも「原発(事故)」を契機に「社会と人間・自分のあり方を問い直す」過程の中で製作された楽曲です。

 

『Q&A』。

問いと答え。

 

秦さんは 

どんな問いに対して 
何と答えるのでしょう。

そしてそれを 


どのように歌うのでしょうか。

 

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blspvega.hatenablog.com

 

*1:*♪昨日流れた涙も 乾いて風になったら 前に進めるかな/♪単純で無条件な愛を今歌おう 生きてく歓びと痛みに溢れた

*2:口蹄疫の被害に見舞われた故郷宮崎の復興を願って、2011年5月4日に開催された一日限りのライブ「Geen Mind 2011」

*3:「Green Mind 2011」のアンコールにて撮影。